第3セクターの若桜鉄道奮闘中

鳥取県

若桜(わかさ)鉄道は、因美線から分岐して若桜町までの路線

因美線の鳥取駅にほぼ近い郡家駅(こおげえき)から終点の若桜駅まで距離にして19.2キロ、9駅からなる第三セクターの路線です。乗車時間は約30分程度です。もともと、国鉄時代にさらに東の兵庫県の山陰本線八鹿駅(ようかえき)まで延伸する計画もあったようですが、断ち切れになり、昭和62年の国鉄民営化時にJR西日本からも切り離されました。その後も紆余曲折があり、現在も鳥取県や周辺自治体が出資する経営状態ですが、採算ベースは芳しくなく、輸送人員も減少しています。それでも、地元の皆さんの主要な足を残すべく、美しい車両の投入や、木造駅舎の保存など種々の取り組みが続きます。若桜鉄道の車両は、気動車です。

鳥取駅から分岐点の郡家駅まで八頭号に乗車

鳥取駅から見た山陰本線と因美線です。まっすぐ山間部を進むのが山陰本線、右にカーブしていくのが因美線です。若桜線はこの因美線から、途中で分岐します。

9時45分発の若桜駅行きに乗ります。 1日10往復する若桜鉄道の内、半数以上が鳥取駅に乗り入れします。今回は、鳥取駅から郡家駅まで乗車し、そこから若桜駅を目指し歩くことにしました。

入ってきました、若桜鉄道の八頭(やず)号です。色合いといいデザインといい、かなり研究している感があります。

若桜鉄道は、基本的にワンマンカーなので、後ろのドアから乗車し、降りるときに前のドア付近の料金箱に乗車区間の料金を入れて降ります。

車内の様子です。テーブル付きで、座席と座席の間もゆったりしています。4人が座っても、足元がゆったりします。

窓枠やテーブル、床などふんだんに木材を使用しています。若桜鉄道周辺は、梨やネギなどの栽培に加え、木材の出荷もあるようで、そのPRなのでは。それにしても、豪華です。乗車定員は少なくなりますが、ゆったりして乗りやすいレイアウトです。観光列車のよう。

窓のシェードもおしゃれでしょ。壁には、絵の額が飾られています。

こんな絵も。

郡家駅に到着

13分で郡家駅に到着します。今回は、ここから始まる若桜線の沿線を歩いて探索するため、ここで降ります。

八頭号は、ここで9分停車してから、若桜駅を目指して出発します。

駅の構内に新しい除雪車が。結構雪降るんですね。

郡家駅の駅舎です。ここでも木材が積極的に使われています。

駅の1階には、休憩所やおみやげ売り場があります。八頭高校の書道パフォーマンス作品も若桜鉄道を応援しています。

駅の2階には、展望デッキがあります。ここからゆっくり若桜鉄道の車両や、因美線を走るスーパー特急はくとなどが見えます。奥には、案山子軍団が「ようこそー」。

駅にあったパンフレットです。若桜鉄道には3両の専用車両があるようです。八頭号のほかにも、昭和号と若桜号があります。

さあ、歩くぞ!

八頭号が出発するのを見ながら、スタートです。

県道293号線を進みます。

道沿いにあった登り窯です。八頭町では、因久山(いんきゅうざん)焼きの歴史があるらしく、その窯でしょうか。

八東川に架かる若桜鉄道の第一八東川橋梁です。

鳥取高速道との交差点をくぐります。

因幡船岡駅です。線路側から見ています。郡家駅の次は、八頭高校前駅で、ここは二つ目の駅です。ここまで、約2キロです。

隼駅に向かいます。

次の隼駅へ向かいます。この間も約2キロです。

田園地帯を歩きます。この辺りは、米作が主流のようですが、ネギ栽培も盛んで、今が収穫期のようです。

ネギ畑です。

若桜鉄道の線路わきは、どこもゆったりしています。特に柵のようなものもありません。

次の隼駅が近づきました。

ここが隼駅です。木造のかなり古い駅舎です。

この駅舎は、国の登録有形文化財らしいです。先ほどの第一八東川橋梁もそうらしいです。詳しくは、こちらの資料を。

昔使われていた表示板なんでしょう。右から読みます。

待合スペースに置かれていたこの机も多分、当時の事務机ではと思います。

スズキの有名なバイク「ハヤブサ」の愛好者が、集うらしく、もしかしたら聖地かもしれません。

次の、安部駅に

国道482号を進みます。次の安部駅まで約3キロです。

遠くに氷ノ山辺りが雪を被っているのが見えます。この山の向こう側がハチ高原スキー場です。

広い梨畑が見えてきます。

若桜駅発の上り列車と遭遇しました。この車両は、昭和号です。ブルーが周りの景色に溶け込んでいます。

安部駅が近づきました。

ここもかなり古い駅舎です。屋根はブリキ板で補強していますが、本体は昔のままのようです。

この安部駅は、映画男はつらいよ「寅次郎の告白」の舞台になったそうです。へー。

改札口も、昔の木製です。

ホームの待合スペースには、寅さんの実物大人形がいました。こんにちはー

寅さんを後にして、次の八東駅へ

次の八東駅まで約3キロです。帰りのスケジュールを考えると、次の八東駅から下り便に乗って、若桜駅まで行かないと、この旅が完結しなくなりました。歩いて行きたかったんですが時間が足りません。結構、距離あったなー

段々、山が近づいてきたような気がします。

八東駅です。

ここも、登録有形文化財です。さっきの安部駅もそうでした。

建物に貼付されているプレートには、昭和5年建築らしい記載があります。

ホーム側の様子です。

空き線路に展示されていた車両です。有蓋緩急車(ゆうがいかんきゅうしゃ)というらしく、車掌室と貨物車が一体となったもので、国内に現存するのはこれだけだそうです。

若桜行きの下り便が来ました。先ほど見た昭和号です。

「sakura1」とマークにあります。受験シーズンなので、この「sakura1」を幸運列車としてPRすればいいのにと思いますが。

内部の設えは、朝乗車した八頭号と同じです。ワンマンカー仕様ですが、この便には、乗務員が2人勤務していました。若桜駅までの間に、車内で集金をしてくれます。

車窓の風景が絵になります。

徳丸駅と丹比駅を経て、終点の若桜駅に到着です。結局、この日歩いたのは約10キロ。2時間半でした。郡家駅と若桜駅間は、歩くと17キロくらいあるようです。

若桜駅の様子です。

駅舎です。ここも屋根は修繕しているようです、

駅前通りです。終点だけあって、他の駅に比べ建物も多いようです。若桜町役場も近くにあります。

ホームです。「わかさ」の駅名プレートが歴史を感じます。

ヤードにあった隼号です。調べたところ、スズキのバイクハヤブサと隼駅をコラボするラッピング列車だそうで、最近できたそうです。スズキの会長さんも出席して並走パレードがあったとか。

若桜駅から郡家駅まで一気に乗車します。

上りの昭和号です。若桜駅は、名前の通り駅周辺に桜の木が多く、窓からもきれいに見えます。4月初旬に来たら、どんなに美しいでしょう。

若桜鉄道は、周辺の住民の皆さんに愛されていることが伝わってきます。何とか盛り上げて、存続しようという取り組みが至る所に見えます。しかしながら、経営上は芳しくないようで、やはり、少子化で通学に使う子供さんが減ったことや、人口そのものが減って行くために輸送人員が伸びないことが原因ではと思います。この間の木次線でも同じような話を伺いました。今、できることを頑張るだけです。今回、周辺探索と、乗車自体もできて本当に良かった。1両で走る鉄道を見ると、その損益とは別に、周辺住民の日々の生活を支えているぞという静かな力強さを感じます。

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